女性社労士の気になるニュース

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そもそもLGBTとは?

最近、何かと話題の単語である“LGBT”。

これは性的少数者を意味する言葉で、それぞれ次の言葉の頭文字をつなげたものです。

L=レズビアン(女性同性愛者)

G=ゲイ(男性同性愛者)

B=バイセクシュアル(両性愛者)

T=トランスジェンダー(戸籍上の性別と自分で認識する性別が不一致である状態)

 

しかし、上記の言葉それぞれをとってみても、実際は簡単に表現できるものではありません。ですから、一口にLGBT問題として報道やトピックに取り上げられると、当事者の方は複雑な心境になることが多いようです。

 

おそらく、この中で最も誤解されることが多く、また周囲も配慮を要するのはトランスジェンダーの方でしょう。

このカテゴリーで呼ばれる方々のなかには、見た目の性別が性自認している性(自分で自分のことを男性/女性と考えている性別。無性と考える方もいます)と一致している場合もあれば、どうしようもなく一致せずそのために苦しんでいる方もいます。

自分では男性だと思っているのに、制服のスカートを履かされる苦痛、成長とともに胸が膨らんでくる苦痛、女子トイレを使わなければならない苦痛……。

こういったエピソードは、FtMトランスジェンダーのなかでも戸籍上性別が女性、性自認が男性)のお客様と話していると必ず登場する鉄板の話題です。

 

もちろん、通常の生活でもLGBT当事者の方は様々な困難を抱えていますが、就労にあたっても特有の困難さに直面することがあります。

 

レズビアン、ゲイの方がよく口にするのは長時間労働と結婚ハラスメントです。

通常、入職する際には自分の性的志向をわざわざ申告しません。日本においては同性同士の婚姻はいまだ認められていませんので、彼らは配偶者に比するパートナーがいたとしても、会社上ではよくて内縁の恋人持ち、あるいは独身扱いになります。

したがって、妻帯者や子持ちならしれっと帰れるような場合でも「独身なんだから」の言葉のもとに残業を要求されたりする場合があるのです。

また、育休などでチームに欠員が出た場合、同様の理由でしわ寄せを受けやすいという話も聞きます。

しかも、その上に「〇〇ちゃんも早く結婚しなよ~。やっぱり女は家庭を持たないと」などと結婚していないことを欠損のごとく心配顔でいう上司も出てくる始末。

男性の場合だと笑いながら「ゲイなんじゃね?」と面と向かって尋ねられることもあるといいます。別にその男性がゲイだからなんだという話ですが、わざわざそんなデリケートなことを公衆の面前で訪ねてくる無神経さがなぜかまかり通っている、現在。

 

同様の話はバイセクシュアルの方からもよく耳にします。

あるバイセクシュアルの女性は恋愛対象が男女両方であることをオープンにしていたそうですが、社員旅行で部屋割りがなぜか一人だけ個室。大浴場での入浴も控えてほしいと幹事から通告されたそうです。

「たぶん襲われるって思ったんでしょうね。でも、私だって好みがあるし、だれでもいいわけじゃない。その辺が全然理解されない」

まったくもって失礼な話ですが、こういう誤解もあるのだそうです。

 

トランスジェンダーの方の場合は、上記とはまた別種の問題があります。

例えば更衣室、トイレなどの利用をどうするか。

戸籍上男性で、性自認が女性がいたとして、

1)見た目は女性に見え、手術も完了して身体の状態は女性(戸籍のみ男性)である場合

2)見た目は女性に見え、現在ホルモン治療中で身体の状態は両性的な場合

3)見た目は女性に見えるが身体は男性のままである場合

4)見た目も女性に見えず身体も男性のままである場合

この4つのケースで、どこまでを「女性」として扱うか。おそらく、4つ目は女装として扱われてしまうことがほとんどでしょう。しかし、1~3の場合は見た目としては女性なので、線引きが難しいのです。

また、上記2のケースのようにホルモン治療を行っている場合、頻繁に医療機関の受診が必要であったり、投薬・注射の影響で体調に影響が出ることもあります。

仕事をしながら治療に通うような癌や糖尿病などのケースと同様、こちらへも本来は配慮が必要でしょう。

 

結局は会社、経営者の方の判断となりますが、同時にトランスジェンダーの方だけでなく社員の方への配慮も必要となるデリケートな問題に発展するケースも多いのです。

 

自分で自分の性的対象や性自認を告白することをカムアウトと呼びますが、その範囲や時期を決めるのもあくまで本人であることが原則です。

この原則を破り、了承を得ずに第三者が公表をすることをアウティングと呼びますが、2016年にはそれを理由とした悲しい事件がありました。

一人一人がLGBT問題への理解を深めるとともに、問題が起きない仕組みを作る方法を考えることも必要なのではないでしょうか。